2014年12月27日土曜日

「所得隠し」と言われて重加算税が課されいるようだけど、どうなんだろう。

 2014年12月25日の日経夕刊などでの報道から。
 アルミホイール製造の大手、浜松市に本社のあるエンケイ株式会社会社が、過去5年間で、約11億円の申告漏れを名古屋国税局に指摘され、うち6億円は所得隠しとして、重加算税も課され、修正申告して、約2億円を納付したようです。
 非上場会社なので詳細は不明ですが、報道からは、2013年3月期で、約536億円の売り上げ
 会社のサイトによれば、国内従業員約1000人海外事業所14社従業員約6000人の規模のようです。
 
 報道による事実関係は、次のとおり。
 中国子会社から購入した製品に欠陥があり、約4億円の債権を中国子会社に対して有することに。しかし、これが回収できず。
 他方で、中国の子会社から2010年、2011年の3月期に、約4億円の配当収入を受けることに。
 ただ、エンケイは、香港にベーパー会社を有していたということで、この香港の会社の口座を使って、約4億円の収入を未回収だった債権の分の弁済金として付け替えて受領、処理したよう。
 これをもって、所得隠しとして、重加算税が課せられたようです。
 
 エンケイ。サイトをみてみると。
 1992年には、中国の江蘇省昆山市経済技術開発区にアルミホイールの製造販売の会社を設立、2002年には、さらに鋳造用金型等の製造販売の会社を、そして2005年には、広東省佛山市にアルミホイールの製造販売の会社を設立しています。
 その他、アメリカ、フィリピン、インドネシア等にも事業所を有しています。

 海外の関連子会社がらみの経理、税務処理も相当、年季が入っているはずなのに、なぜこんな稚拙ともいえそうな手法での所得隠しをしたのか。
 なぞです。

 非上場会社なので、創業者一族の会社ということなのでしょうが、これだけの規模の会社の経理財務体制がどうなっているのか、気になります。

 大手監査法人系の税理士法人等もアドバイザーにいないとは考えられず。社内の体制がどうなっているのか、気になります。

 にしても。中国子会社からの配当金、益金不算入制度の要件を満たすようにはなっていなかったんでしょうね。
 「所得隠し」と報道されていますが、他に「経理ミス」もあっての申告漏れ約11億円ということなので、「所得隠し」と報道されて重加算税も課せられているらしい約6億円の所得隠しの分も、もしかしたら,大した悪意のない、付け替え、配当金入ってくるなら、未回収金の回収としちゃえ、くらいのものだったのかもしれません。

 この辺り、社内の担当者のレベル、質の問題が大きいのではないかと推測します。
 あまりにも単純すぎて、単なる担当者の無知にすぎない重加算税なのかもという疑念ありです。
 社内での人材育成、スペシャリスト養成は会計分野が重要です。
(おわり)

これは朝日新聞のサイト。図もあります。






 

2014年12月4日木曜日

国税不服審判所の予算

 講演の準備として、そういえば国税不服審判所の予算は年間いくらだったっけ?とググりました。
 「国税不服審判書 予算」

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 ピタッとしたものは出てこなかったのですが、上記写真のPDFがヒットしました。

 平成25年の成立予算額です。

 国税不服審判所 年間合計約44億7000万円
 うち、「審査請求の調査及び審理に必要な経費」、約1億4000万円。
 なんでしょう?

 予算のほとんどは、おそらく人件費と思われます。約500名分。
 その他に、1億4000万円。
 審判官、審査官らが現地に赴く際の交通費?英文書類等の翻訳費用? 
 調査のためにどういった費用を使うのか、ちょっとピンと来ません。

 その他。
 「独立行政法人酒類総合研究所運営費」として、約9億6500万円。
 なんでしょうか、この団体。

 ググりました。
 広島にあるんですね。
 
 「酒類総合研究所は財務省所管の独立行政法人として、国税庁の施策を実施するため、酒類に関する技術的な面での業務を行っております。基本的な方針としては、酒類に関する高度な分析及び鑑定を行い、並びに酒類及び酒類業に関する研究、調査及び情報提供等を行うことにより、酒税の適正かつ公平な賦課の実現に資するとともに、酒類業の健全な発達を図り、あわせて酒類に対する国民の認識を深めていただくことを目的として業務に当たっています。」
 
 総勢45名、うち研究職員32名。

 ここが、今年6月頃、大騒ぎになったサッポロの第三のビール「極ゼロ」は、第三のビールじゃない!といった検証・研究をしているのでしょうか。

 この組織の予算とは別に、「酒類業の健全な発達の促進に必要な経費」として、約4億円の予算が成立しています。
 酒関係だけで、国税庁として、約13億円の予算をとっています。
 
 「酒・たばこ」と並び評されることが多いと思うのですが、この「酒」と「たばこ」の今の取り扱いの差はいったい何に原因があるのでしょうか。
 ちなみに、平成25年度の酒税収入は、1兆3740億円のようです。
 この国税の酒税獲得のために、研究費的なものとして13億円をかける意義はあるのでしょうね。よくわかりません。
 
 ちなみに、サッポロは、特別損失として「酒税追加支払額等」116億3900万円を計上しています。関連して、「アドバイザリー費用」が3500万円、その他が1100万円。なんのアドバイザリー費用なんでしょうか。争うべきか否かとして、税理士法人と弁護士法人からのアドバイス費用なのでしょう。


 また、平成25年のサッポロの研究開発費は、約26億円のようです。ただ、国内の酒類事業の研究費としては16億円だったようです。
 
 またしても、だから何?という、ものでした。
 へーっ、ということで。

 たまに、ネットサーフィンではありませんが、政府の公の資料、ネット上の資料を紐解くと、面白いです。
(おわり)

*無心に、研究。