2014年11月26日水曜日

国税通則法違反と不起訴処分

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 平成26年11月22日の日経朝刊の記事です。
 京都地方検察庁は、調査情報を漏洩したということで書類送検されていた、元大阪国税局職員(47歳)について、不起訴処分とした、というものです。
 不起訴の理由は不明とのこと。


 情報漏洩での国税通則法違反というと、おそらく、国税通則法126条です。
 「事務に関して知ることのできた秘密を漏らし」たときは、「2年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する」とされています。

 検察庁への書類送検、とは。
 刑事訴訟法246条本文、です。
 司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定めのある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。
 
 そして、この「事件」送致を受けた検察官が「公訴」を行うか否かを決めます(刑事訴訟法247条)。
 この時、検察官が、公訴をしないと決めたことを「不起訴」処分といいます。

 報道の、元大阪国税局職員は、「不起訴」とされたということは、刑事裁判にはかけられないこととなったということです。
 ですので、懲役刑あるいは、罰金刑に処せられることはありません。

 では、どのようなときに、検察官は、「不起訴」とするのでしょうか。

 刑事訴訟法248条です。
 犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の状況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。
 これはら、「不起訴」の理由の一つの「起訴猶予」というものです。
 
 そのほかに「不起訴」とされる理由は、「嫌疑不十分」というもがあります。
 検察官が、公訴しても、有罪判決となる見込みはない、証拠が十分ではないという場合もまた、不起訴処分となります。

 今回の元大阪国税局職員の不起訴処分の理由は明らかてはないということですが、「元」職員という報道からして、おそらく捜査を機会に退職しているのだと思われ、となると、本人自身も嫌疑については争ってはおらず、退職までしていること、事件そのものもお金をもらってといった事柄でもなく、比較的軽いと判断されたのではないか、「起訴猶予」による不起訴処分てはないかと推測されます。
 
 47歳ということで、おそらく、高校を卒業した18歳からか、あるいは大学を卒業した23、24歳から、20年以上は国税局で勤務してきた方だと思われます。
 退職して、いったい仕事、収入をどうするのか。
 退職理由がこのような嫌疑によるものだとしたら。
 ただ、能力のある方なら、長年にわたる税務調査等の経験、知識は、退職後も、その税務の分野で役に立つと思います。
 
 ちょっとした気の迷い、何かの誘惑、勘違い、理由・動機はわかりませんが、人生は続くので頑張って欲しいです。

 そして。
 職場としての再発防止策が問われるのでしょう。大阪国税局のこうした報道が一定期間、絶え間ないような気がするのは気のせいなのか。なぜなのか、不思議で仕方ありません。
 職場に対する不満、給料に対する不満、将来に対する不安?

 どのような職場においても、他人事ではないと思います。
 飲酒運転と同様、厳罰化が効果的なのかどうかはわかりませんが、不起訴処分の理由が起訴猶予だとしたら、それでいいのかという気がしないでもありません。おそらく、漏洩したとうされる「秘密」も、大した「秘密」ではなかったのだろうと思われます。

 京都ということと、情報漏洩ということで、10月23日のこの事件かなとも思うのですが、
 http://songjing55.cocolog-nifty.com/_yoshikomatsui2014_/cat23761237/index.html
 国家公務員法違反、逮捕、48歳、ということで、微妙に違います。
 今回の不起訴処分、いったいどの件のことなのだろう。
  
 もし、10月23日逮捕の事件のことだったとしたら、京都府警による、捜査は本丸にたどり着けなかったということか。
 ただ、逮捕されていたのなら、身体拘束の期間制限上、勾留期間は最長20日間なので、もっと早くに起訴、不起訴の処分が出ているはず。
 別件なのでしょう。
 ということは、京都の方で、なにかがうごめいてるということか。 

(おわり)

*しろくまは見ている!



 

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